白内障手術とは
白内障手術は、加齢や外傷、糖尿病、薬の副作用などによって濁ってしまった水晶体(目の中のレンズ)を取り除き、その代わりに人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入することで視力を回復させる手術です。
例えるなら、曇ってしまったカメラのレンズを新しいレンズに交換するようなもので、手術によって再びクリアな視界を取り戻すことができます。
白内障手術は、短時間で安全性の高い治療法であり、進行した白内障に対して唯一有効な治療手段です。多くの患者さんがこの手術によって再び快適な視界を取り戻し、読書や運転、趣味などを楽しめるようになっています。
主な手術法
現在もっとも一般的なのは「超音波乳化吸引術」という方法です。専用の器具を用いて濁った水晶体を超音波で細かく砕き、同時に吸引して取り除きます。その後、眼内レンズを挿入して置き換えます。
手術は局所麻酔で行われ、意識はあるものの痛みはほとんどなく、安心して受けられるのが特徴です。
手術時間と日帰り手術
手術自体にかかる時間は片目で10〜30分程度と短く、多くの患者さんが日帰りで受けられます。入院を必要としないため、体への負担が少なく、社会復帰や日常生活への復帰も早い傾向があります。
白内障手術が勧められるタイミング
白内障は薬で治すことができず、進行を止める方法もありません。眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が改善しないほど濁りが進み、以下のような症状が日常生活に支障を与えるようになった場合に手術が推奨されます。
- 夕方や夜間の運転でライトがまぶしく危険を感じる
- 視界が白くかすんで読書やテレビが見づらい
- 眼鏡をかけてもはっきり見えない
- 明るい場所でも思うような視力が得られない
このような状態の方は、早めにご相談ください。手術を受けることで生活の質を大きく改善できます。
手術のリスクと合併症
白内障手術は世界的にも安全性が高く、現在もっとも多く行われている眼科手術の一つです。しかし、外科手術である以上、下記のようなリスクがまれに起こる可能性があります。
- 感染症(術後眼内炎など)
- 眼圧の上昇
- 後発白内障(術後しばらくして水晶体の後嚢が濁る現象)
- 眼内レンズの位置ずれ
これらは適切な処置で改善できるケースが多いため、異常を感じたらすぐに医師へ相談することが大切です。
眼内レンズの種類と選び方
挿入する眼内レンズにはいくつかの種類があり、大きく分けて「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」があります。
単焦点レンズ:
遠く、または近くのどちらかに焦点を合わせるタイプ。費用は保険が適用され、一般的に広く選ばれています。
多焦点レンズ:
遠方から近方まで幅広い距離にピントが合うタイプ。老眼鏡などを使う頻度を減らせますが、保険適用外(自由診療)で費用は高額になります。
レンズの度数を調整することで、近視や遠視の改善も同時に行えるため、患者さんの生活スタイル(読書中心なのか、車の運転が多いのかなど)や希望に応じて選択されます。
術後のケアと注意点
手術後は、感染症や炎症を防ぐための点眼薬が処方されます。通常は数週間から数か月にわたって点眼を継続し、医師の指示に従って定期的に診察を受ける必要があります。
また、術後すぐは視界がぼやけたり光がまぶしく感じられたりすることがありますが、多くの場合は時間の経過とともに改善します。