ご相談の多い症状
目の症状は、軽く見えて実は重大な疾患が隠れていることもあります。特に以下のような場合は、放置せず眼科を受診することが重要です。
- 症状が急に出てきた
- 片目だけに強く出ている
- 視力が落ちた、見えにくい
- 痛みが強い、光がまぶしい
- 視野が欠ける、黒いカーテンがかかるように見える
目は一度機能が落ちると回復が難しい器官です。「少し変だな」と思ったら、早めの受診が視力を守る第一歩です。
目の充血
目が赤くなる「充血」は、白目の部分(結膜や強膜)の血管が拡張して起こります。原因は、アレルギーや感染、目の疲れ、重大な病気までさまざまです。
充血が軽度で痛みがない場合は心配いらないことも多いですが、痛み・視力低下・異物感・かすみ目・涙や目やにが多い場合などを伴う場合は、重大な病気の可能性もあるため注意が必要です。
考えられる病気:
- アレルギー性結膜炎
- ウイルス性結膜炎(流行性角結膜炎など)
- 細菌性結膜炎
- 急性閉塞隅角緑内障(充血+激しい痛み+視力低下)
- ぶどう膜炎(目の内部の炎症)
- 強膜炎・上強膜炎(自己免疫疾患と関連)
- 角膜炎・角膜潰瘍
- ドライアイ
黒い影や糸くずが見える(飛蚊症)
「目の前に黒い点や糸くずのようなものが飛んで見える」症状は、多くの場合、目の中を満たすゼリー状の組織「硝子体」が加齢などで変化することによって起こります。
ただし、急に数が増えた・光がピカッと見える・視野が欠けた感じがあるといった場合は、網膜の病気(網膜裂孔・網膜剥離)などの危険な状態が隠れている可能性があります。
考えられる病気:
- 生理的飛蚊症(加齢や近視による変化)
- 後部硝子体剥離
- 網膜裂孔・網膜剥離(放置で失明の恐れあり)
- ぶどう膜炎(眼の内部の炎症)
- 硝子体出血(糖尿病・高血圧などが原因)
目の痛み
目の痛みは、角膜や結膜の表面に原因がある場合と、目の奥(眼圧や炎症など)に原因がある場合があります。「まばたきすると痛い」「開けているだけでズキズキする」「視力が落ちている」などの訴えがある場合は、特に注意が必要です。
単なる疲れ目のこともありますが、痛みが強い・視界に違和感がある・充血があるときには、放置せず眼科を受診しましょう。
考えられる病気:
- 角膜びらん・角膜潰瘍(キズや感染)
- 急性閉塞隅角緑内障(充血+激しい痛み+視力低下)
- ぶどう膜炎
- 強膜炎:上強膜炎
- ドライアイ(重度では角膜に傷がつき痛みが出る)
- 異物混入やコンタクトレンズトラブル
- 眼窩蜂窩織炎(目の奥に細菌感染が広がった状態)
まぶたがぴくぴくする
まぶたの一部が無意識にピクピク動く症状で、ストレス・睡眠不足・カフェインの取りすぎなどが主な原因です。特に下まぶたに出やすく、多くは数日〜数週間で自然に改善します。
ただし、痙攣が長期間続く・顔の他の部分にも広がる・片側だけが強く動くといった場合には、神経の病気が関係している可能性もあるため、必要に応じて専門的な評価が必要です。
考えられる病気・原因:
- 良性眼瞼ミオキミア(睡眠不足・カフェイン過多が要因)
- 顔面けいれん
- ストレスや疲労
- 神経系の異常(まれ)
目がしょぼしょぼする
目を開けているのがつらい、なんとなくしょぼしょぼする、すぐ目が乾いてまばたきしたくなる…こうした症状は、ドライアイや目の使い過ぎによる眼精疲労が多い原因です。
最近ではスマートフォンやパソコンの長時間使用によって、まばたきの回数が減り、目の表面が乾きやすくなっています。加齢やホルモンの影響で涙の分泌量が減ることもあります。
考えられる病気・原因:
- ドライアイ(涙の量や質の異常)
- パソコン・スマホ疲れ(VDT症候群)
- 老眼・調節障害
- アレルギー性結膜炎
- 睡眠不足・生活習慣の乱れ
- コンタクトレンズの不適合
二重に見える(複視)
一つのものが二重に見える、色がにじんで見えるなどの症状は、目の構造(角膜や水晶体)や神経・筋肉の異常が関係していることがあります。
たとえば、白内障の初期では光が散乱して「白いものがにじんで見える」ことがあります。片目だけで起こる場合と、両目を使ったときにだけ起こる場合では、原因が異なります。
- 片目で二重に見える → 屈折異常や白内障の可能性
- 両目で見たときだけ二重 → 斜視や神経障害の可能性
考えられる病気:
- 乱視(角膜のゆがみによる)
- 白内障(光の散乱によるにじみ)
- 外眼筋の異常(外転神経麻痺、バセドウ病など)
- 重症筋無力症
- 脳動脈瘤や脳腫瘍による動眼神経の障害
目の病気
目の病気は初期には自覚症状が少ないものが多く、発見が遅れると視力に回復困難な障害を残すことがあります。「疲れ目かな?」「そのうち治るかも」と思わず、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
定期的な検診の目安
- 40歳を過ぎたら年に1回の眼科検診を推奨(緑内障などの無症状疾患の早期発見のため)
- 糖尿病・高血圧・高脂血症の方は、眼底検査を含む定期検診が重要
- コンタクトレンズ使用者は、少なくとも半年に1回の眼科受診が必要
- 子どもは3歳児健診以降、視力や斜視のチェックのために小児眼科受診を
白内障(はくないしょう)
白内障は、目の中のレンズにあたる「水晶体」が白く濁る病気です。原因の多くは加齢によるたんぱく質の変性で、特に60歳以降に発症しやすくなります。そのほか、紫外線の長年の蓄積、糖尿病、アトピー性皮膚炎、喫煙、ステロイド薬の長期使用、目の外傷や手術歴なども原因になります。
濁った水晶体によって光の通りが悪くなり、視界がかすむ、まぶしく感じるといった症状が現れます。進行すると視力の低下が著しくなり、手術が必要になることもあります。
主な症状
- 視界がかすむ、ぼやける
- 明るい場所やライトがまぶしく感じる
- 色の見え方が黄ばんで見える
- 物が二重に見えることがある
- 視力が低下し、眼鏡でも矯正できない
緑内障(りょくないしょう)
緑内障は、目の奥の「視神経」が障害される病気で、視野が徐々に欠けていきます。原因には、眼圧(目の中の圧力)が高いことが一般的に知られていますが、日本人の多くは眼圧が正常でも緑内障になる「正常眼圧緑内障」です。
視神経がダメージを受ける原因として、血流の低下、視神経の構造的な弱さ、加齢、遺伝的要因、糖尿病や高血圧などの全身疾患も関与します。視野が欠けていても初期には気づかないことが多く、進行してからようやく自覚するケースが多いため、定期検診が重要です。
緑内障の特徴
- 初期はほとんど自覚症状がない
- 視野の一部が欠ける、暗く感じる
- 両目で見ると気づきにくい
- 急性閉塞隅角緑内障では、激しい眼痛、頭痛、吐き気を伴う(緊急)
眼瞼下垂(がんけんかすい)
眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がり、目が開けにくくなる状態です。最も多い原因は加齢に伴う筋肉や腱膜のゆるみ(退行変性)で、特に中高年に多く見られます。
また、長年のハードコンタクトレンズ装用によるまぶたへの慢性的な刺激、先天的な発達不全、脳や神経の病気(動眼神経麻痺、重症筋無力症など)、外傷や手術の影響でも発症します。視界が狭くなることで無意識に額の筋肉を使ってまぶたを持ち上げようとするため、肩こりや頭痛の原因にもなります主な。
主な症状
- まぶたが垂れ、視野が遮られる
- 額にシワを寄せて物を見ようとする
- 慢性的な肩こりや頭痛がある
- まぶたを開けようとすると疲れやすい
- 見た目に「眠そう」「疲れている」と言われる
老眼(老視)
老眼は、加齢によって水晶体が硬くなり、ピント調節力が低下することで、近くの物が見えづらくなる状態です。通常、40歳前後から始まり、年齢とともに進行します。
目の中の「毛様体筋」という筋肉が、水晶体の厚みを調節することでピントを合わせていますが、加齢とともにこの機能が衰え、近距離へのピントが合わなくなります。
スマホの文字や新聞、書類など、手元を見る機会が多い現代では、老眼による不便さを早く感じる方が増えています。
主な症状
- 近くの文字が見えづらくなる
- スマホや新聞を離して読むようになる
- 暗い場所では特に見えにくい
- 目が疲れやすく、作業が続かない
- 頭痛や肩こりが出ることがある
まぶたの病気(ものもらい・霰粒腫など)
まぶたの病気にはさまざまな種類がありますが、代表的なものが「ものもらい(麦粒腫)」と「霰粒腫」です。
麦粒腫は、まつげの根元にある皮脂腺や汗腺に細菌(主に黄色ブドウ球菌)が感染して膿がたまり、腫れや痛みが出る病気です。
一方、霰粒腫は、脂腺の出口が詰まって皮脂がたまることで無痛性のしこりになる状態で、感染を伴わない場合が多く、慢性化することがあります。
また、まぶたがピクピクとけいれんする「眼瞼けいれん」や、腫瘍性のしこりができるケースもあります。
主な症状
- まぶたの腫れと痛み(ものもらい)
- しこりが残るが痛みはない(霰粒腫)
- 目がゴロゴロする異物感
- まぶたがピクピクと動く(眼瞼けいれん)
- 腫れやできものが見た目に目立つことがある
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、花粉、ハウスダスト、ダニ、動物の毛、カビなどのアレルゲンが結膜(白目とまぶたの裏側を覆う膜)に反応して炎症を引き起こす病気です。
季節性アレルギー(花粉症)と通年性アレルギー(室内のアレルゲン)があり、特にアレルギー体質の方に多く見られます。目のかゆみや充血、涙目などが強く現れ、鼻炎や皮膚症状を伴うこともあります。こすりすぎると角膜に傷がつくリスクがあるため、早期の対応が大切です。
主な症状
- 両目の強いかゆみ
- 充血(白目が赤くなる)
- 涙が出る
- まぶたが腫れる
- 粘り気のある目やにが出る
- こすりすぎによる角膜の傷や異物感
ドライアイ
ドライアイは、涙の量が不足したり、涙の質が悪くなったりすることで、目の表面が乾燥して不快な症状を引き起こす病気です。原因は多岐にわたり、加齢、長時間のパソコン・スマホ使用によるまばたきの減少、コンタクトレンズ装用、空調による乾燥、ストレス、ホルモンバランスの変化(特に更年期以降の女性)などが挙げられます。
涙の役割は潤いを保つだけでなく、異物を洗い流し、目の表面を保護することにもあるため、ドライアイが進行すると角膜に傷がつくこともあります。
主な症状
- 目の乾燥感、しょぼしょぼする
- ゴロゴロした異物感
- 見えにくく、かすむことがある
- 涙が出る(乾燥に対する反射的な分泌)
- まぶたが重く、目を開けているのがつらい
- 長時間の作業で目が疲れやすくなる