お子さんの目のトラブル・よくある症状とご相談
お子さんの目の不調は、大人と違って自分でうまく伝えられないことが多いため、保護者の方のちょっとした気づきがとても大切です。ここでは、小児眼科でよく見られる症状や病気についてご紹介します。
よく見えていない気がする(近視・遠視・乱視)
テレビを近くで見たがる、黒板の字を読み間違える、目を細めて見るといった行動が見られたら、視力の問題が隠れているかもしれません。近視は小学生から進行しやすく、スマートフォンやタブレットの使いすぎも影響します。遠視や乱視の場合は、見え方の問題だけでなく、集中力や学習にも影響することがあります。
気づきやすいサイン:
目を細める/テレビや本を極端に近づけて見る/姿勢が傾く/読み書きに集中できない
受診のタイミング:
視力検査で異常を指摘された/家庭で見えにくそうな様子があるとき
リジュセア点眼
当院ではリジュセア点眼を取り扱っています。リジュセア点眼は、小児の近視が進むのを抑える効果が期待できる点眼薬です。
効果を保つためには、続けて使用し、定期的に医師の診察を受けることが大切です。
視力がしっかり育っていない(弱視)
目自体に問題がなくても、視力が発達する時期(およそ8歳まで)にうまく見える力が育たない状態を弱視といいます。遠視や乱視、片目だけ視力が弱い、斜視などが原因になることがあります。小さいうちに見つけて治療を始めれば、視力は十分に回復が期待できます。
気づきやすいサイン:
ご家庭で気付くケースはほとんどなく、健診で発見されることが多いです。
受診のタイミング:
3歳児健診や学校健診で異常を指摘された/視力差を感じたとき
目の向きが気になる(斜視)
片目が内側や外側を向いている、写真で目の位置がずれているといった症状があると「斜視」の可能性があります。見た目だけでなく、物を立体的にとらえる力(両眼視機能)が育ちにくくなり、視力の発達にも影響を与えます。
気づきやすいサイン:
写真で目の光の位置がずれている/頭を傾けて物を見る/片目をつぶる
受診のタイミング:
目のずれが見られたとき/首を傾ける動作が気になるときは、一度ご相談ください。
涙や目やにが多い
赤ちゃんで涙や目やにが頻繁に出る場合、涙の通り道が詰まっている「鼻涙管閉塞」が考えられます。多くは自然に治りますが、長引くと感染の原因にもなります。
気づきやすいサイン:
いつも目がうるんでいる/目やにが頻繁に出る/朝起きると目が開きにくい
受診のタイミング:
生後3〜4か月を過ぎても改善しない/赤く腫れてきたとき
まぶたやまつげのトラブル
まぶたが垂れ下がって目を覆っていたり、まつげが目の中に入ってしまう(さかさまつげ)は、見えづらさや目の表面のキズの原因になります。さかさまつげは成長とともに自然に治ることもありますが、角膜にキズができている場合には早期に受診が必要です。
気づきやすいサイン:
涙が出やすい/目をこする/まぶたが下がっている
受診のタイミング:
1歳を過ぎてもよくならない/目の表面にキズや充血があるとき/急に悪化したとき
目が赤く腫れた・目やにが増えた(結膜炎・ものもらい・はやり目)
まぶたが赤く腫れる「ものもらい」や、目やに・かゆみが出る「結膜炎」は子どもによく見られる症状です。ウイルス性結膜炎(はやり目)はとくに感染力が強いため、学校や園で広がることもあります。
気づきやすいサイン:
まぶたの腫れ/目やにが多い/目をかゆがる・痛がる
受診のタイミング:
症状が強いとき/周囲で感染が流行しているとき/症状が長引くときは注意が必要です。
まぶたにしこりができた
まぶたに小さなふくらみができる「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」は、まぶたの脂が詰まって炎症を起こした状態です。多くは痛みがありませんが、大きくなったり長く続いたりする場合は治療が必要です。
気づきやすいサイン:
まぶたに固いしこりがある/数週間たっても消えない
受診のタイミング:
しこりが長引く/何度も再発する/赤く腫れてきたときはなるべく早めにご相談ください。
黒目や目の色がおかしい
「目の色が白っぽく見える」「黒目の一部が白い」といったサインは、まれに重大な病気がかくれていることがあります。先天白内障や網膜芽細胞腫といった疾患では、早期発見が視力や命を守るカギになります。
気づきやすいサイン:
光が当たると黒目が白っぽく見える/目線が合わない/目の色が左右で違う
受診のタイミング:
気づいたらすぐに眼科へ。迷わず受診をしてください。
お子さまの目のサインに、いち早く気づいてあげましょう
お子さまは「見えにくい」「まぶしい」などの異変を言葉でうまく伝えることができません。だからこそ、保護者の方の「ちょっと気になる」「なんかおかしいかも」という感覚が、とても大切なヒントになります。
症状が長引いていたり、急に悪化したときは、できるだけ早く眼科に相談してください。小さな目の変化が、お子さまの未来の視力を守る第一歩になるかもしれません。